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HOME > 情報発信 .> ドクターズコラム > 藤井寺、羽曳野症例検討会が開かれました。
2007/03/21 又その手だ

 タミフルの使用が、原則10歳代は禁止という通達が、厚生労働省から出されたそうです。現場を預かる私たちには、まだ詳細は伝えられていません。何人かのいたましい事故が報告されていますが、その原因がタミフルであったということは証明されていません。私たち医師は物事の判断を、科学的な立場、一昔前にはやった言葉で言うと、弁証法的な考えで行いますので、この短兵急な決定に疑問を感じずにはいられません。

 まず厚生労働省には、この薬品を認可した責任があるでしょう。又副作用の項目には、今起こっているようなことが起こる可能性は言及してありますので、現在起こっていると言われている出来事が、認可した時点での発生率と、優位差がどれほどあるのかということを、発表する義務があります。又一番重要なことは、今起こっていることが、優位差を持ってタミフルが原因である、と言う事を証明することです。タミフルを飲まないでも、その様な事が発生した可能性がないのかどうか、又突然死の発生も言われていますが、現在流行のインフルエンザでもそこそこの死亡の発表はありますし、昔のスペイン風邪では遥かに高率の、しかも即死に近いようなことが起こったと言う発表が多数あります。その様な科学的、冷静な議論もなく一方的に通達を出す事は、現場を混乱させ、医師と患者さんの信頼関係を破壊するものだと言えます。

 もとより私たちは、患者さんの不利益になる治療をするわけがありません。国が認可し、お墨付きを与えた薬剤を使って、患者さんに最大限の利益になることを、行おうと考えています。一部マスコミが、薬を出せば出すほど医者は儲かるから、タミフルを処方するのだ、と言いました。私たちは、患者さんから頂く薬価の90%以上で問屋さんから薬を仕入れ、しかも消費税5%を払い、患者さんから消費税抜きの薬価を頂いています。つまり薬価差による利益など2,3%です。この様な現実も知らずマスコミは医師性悪説を展開します。今回はタミフルがまんまとそれにのせられてしまいました。

 結局今回の厚生労働省の通達は、厚生労働省が自分たちを守るために、マスコミも動員して、インフルエンザで苦しむ10歳代を切り捨てたと言う事でしょう。私の診療所では、府立高校の入試直前にインフルエンザに罹り、タミフルのお陰で治癒して無事テストを受けられた患者さんもおられます。この人たちのこうむった恩恵は、どうなるのでしょうか。

 少し前、日本脳炎の予防接種を、積極的に勧めてははならない、と言う通達が厚生労働省から発表されました。予防接種後遺症と思われる、麻痺を起こしたと言う傷ましい事案が報告されたからです。その事故の起こる率は250万人から450万人に1人と言われています。その後厚生労働省は、新しいワクチンを作ると発表しましたが、2年以上たった今もそのワクチンは発売されていません。その間、年間100万人ものワクチン未接種者が着実に増加しています。多くの人がワクチンを接種して集団防衛をすることで、日本脳炎の蔓延が防げているのにこれは由々しき事態です。それに対する抗議に国は、積極的に接種を進める事は禁止したが、禁止はしていない、と言う返事をしました。今回のタミフルの件も、何か困った事が起きれば、国は原則禁止といっただけで、絶対禁止と言ったわけではないと、言い訳するのでしょう。

この様な国の無責任な態度に私は断固抗議します。

 白 江 医 院 白江 淳郎


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