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広汎性発達障害 (Pervasive Developmental Disorders PDD) 
 幼い頃から、他人との社会的なかかわり合いに問題を示す子供達がいる。彼らの特徴は「自閉」と呼ばれ、他者とのコミュニケーションをもとうとしなかったり非常にぎこちなかったりし、精神医学的には『広汎性発達障害PDD』(診断基準:表1)という呼称がついている。従来「自閉症」がもっとも有名であったが、最近その中でも知能の障害のないもの、コミュニケーションの障害が軽微な(正確には言語の障害のない)ものが『高機能広汎性障害』と呼ばれ、医療、教育、司法の場で大きな庄目をあびている。新聞紙上で時に目にするアスペルガー障害がその代表である。

 彼らは他者の気持ちを受け取るのが苦手で、また興味の範囲が限局し、拘る傾向も強い。その結果、ときに非常に奇妙であったり、無粋であったり、被害的であったり、衝動的であったりする。彼らは学校ではいじめの対象になりやすく、また引きこもりに陥りやすい(表2)。社会では最近大きな事件の加害者となったことで注目を浴びた(表3・十一ら、2005)が、ただ一般人口に比して犯罪率が高いわけではない。これらの問題は障害の本質ではなく、二次的に生じたものと考えられている。

 今早急に求められているのは、皆が彼らの障害について正しい認識をもち、社会・教育・医療が協力して健康な成長をはぐくむ制度つくりを行うことである。

表(1)

広汎性発達障害とは
(PervasiveDevelopmental Disorder=PDD)

PDDの診断基準(DSM-W)
1.対人的相互反応の質的障害:4項目
2.コミュニケーションの質的障害:4項目
3.行動・興味・活動の限定された反復的・常同的な様式:4項目

表(2)

いじめとPDD
・いじめの被害者の1〜2割程度はPDD
 PDDの約半数はいずれいじめにあう?
・いじめが被害妄想・衝撃行動につながる。

不登校とPDD
・中学生の不登校(2.8%)のうち数%。
 小学生(0.3%)のうちではもう少し高率と思われる

事件とPDD
・少年事件の10%にPDDが認められる。
・事件の内容は思春期にわいせつ行為が多い以外特徴はない

表(3)

未成年〜若年成人の高機能PDDによる
主要な重大事

2000年 豊川市主婦刺殺事件(高校生、突然の実験的殺人)
2000年 西鉄バスジャック事件(高校中退・ひきこもり・入院中の犯行)
2001年 東京都レッサーパンダ帽事件(29歳精神遅滞あり)
2003年 長崎市幼児投げ落とし事件(中1)
2004年 佐世保市小6同級生殺害事件
2004年 北海道同級生母親殺害事件
(15歳、本来は同級生が標的、卒業アルバムでの写真が嫌で)
2005年 寝屋川教師殺傷事件(17歳、不登校歴、通院中)
2005年 母親へのタリウム投与事件(高校生、理科実験型?)
2005年 大阪姉妹殺害事件(16歳時に母親を殺害し少年院へ)
2005年 塾講師による宇治小6殺害事件(大学生、通院中)

ながいクリニック 長井 曜子


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